「未病で生きる」~腸活院長コラム~

歯とゴリラと食事療法

2025年09月12日 10:25

2025年9月12日(金)


「1冊読むと確信が持て、2冊読むと迷いが生じ、10冊読むとノイローゼになる」

食事健康療法の世界の名言。それぞれ筆者は皆、自分の病気を治した経験や健康が増進した結果からこれこそ最高だと自信をもって公開していますが、全く逆のことを主張したものがあるのも事実です。

 なぜこんなにも主張がバラエティにとんでいるのかというと、人類60億人全員の腸内細菌叢が異なるためなのです。

まさしく「みんなちがってみんないい」のが、食事療法の世界です。


とはいえ、皆同じ人類ですから、概ね体に良い食べ物は決まっているはずですよね。

では、何を食べていたら大きなまちがいはないのでしょう。

僕は、何事も、そもそもどんな動物なのか、どうやって生き延びてきたのか、から考える事が好きです。

そう、人間は本来何を食べる動物なのか?人間にとって最適の食物は何か?

これは歯の種類と本数が大きなヒントになります。

成人の歯は32本。うち、犬歯4本、門歯が8本、残りの20本が臼歯です。犬歯は肉を食いちぎる為にあります。門歯は、野菜や果物をがぶりとちぎる為にあり、それを臼歯ですりつぶし、細かくして飲み込みます。

(犬歯)4本:(門歯+臼歯)28本、つまり、肉食1:菜食7。穀物・野菜・果物で88%、肉が12%となりますから、

9割:1割。これが妥当なラインだと思います。


もうすこしわかりやすくシンプルに考えてみましょう。

ゴリラと人間の遺伝子は90%ぐらい同じです。ゴリラは果物と野菜類を食べ、肉食はしません。それなのに、あの2メートル近い巨体を保ち、人間より力持ちです。100歳まで生きるのが普通であるインドのヨガの里の人々も肉は食べません。必須アミノ酸は摂らないと筋肉が作れないといわれていますが、かならずしもそうではないことがわかりますね。象も牛も草しか食べませんが筋肉隆々です。1日に青汁1杯だけしか摂取せずに、ふっくらとした健康体型をしている人の便を研究者が調べたら、牛の腸内細菌叢とほぼ同じであり、腸内細菌が食物繊維を分解してアミノ酸を作っていたことがわかりました。

 

現代社会に生きる人間は、様々な生活環境に置かれ、毎日ストレスと戦っていますから、体にはよくないとわかっていても、心の健康を保つ為に様々なものを食します。「肉を食べないと元気が出ない」はまさしくそれです。


体の健康を効果的に維持する為だけを考える時には、基本的に、人間はゴリラと同じ果物と菜食でよいと、僕は考えています。